性感染症

性感染症とは?

夫婦性行為によって感染する病気の総称を「性感染症」と呼びます。「性病」「STD」とも言われています。
性感染症は多種多様ですが、自覚症状が現れないものも多く、知らない間に感染していた、または感染させていたということも起こりがちです。
もっとも手軽で普及している予防法は、性交時のコンドーム装着です。ただし、破れてしまったり、装着が不十分であったり、またオーラルセックスで喉に感染することもありますので、100%感染を防げるものでもありません。
性感染症について気になることがあるときは、お気軽にご相談ください。適切な検査・治療をご提案します。

性感染症の原因は?

性感染症は、すでに感染している人との性行為(通常のセックスだけではなく、オーラルセックス、アナルセックスを含む)によって感染します。具体的には、精液、膣分泌液、血液などが、口、性器の粘膜、皮膚などに接触することでの感染です。
逆に、飲み物の回し飲み、握手、お風呂などで感染することはありません。また、マスターベーションで自然発症することもありません。

主な性感染症

クラミジア感染症

目の病気「トラコーマ」と同じ種類の微生物を原因として発症する性感染症です。

感染経路 セックス、オーラルセックス
症状 3日から1週間程度の潜伏期間を経て、粘液状のおりもの、下腹痛、不正出血、右上腹部痛などの症状が現れることがありますが、感染者の約80%に自覚症状がありません。放置していると、卵管炎、骨盤内感染症を引き起こし、不妊や子宮外妊娠などに至る可能性が高くなります。分娩時に新生児に感染すると、結膜炎、肺炎を起こすことがあります。
検査 膣、子宮の粘膜内の感染の有無を調べる抗原検査と、クラミジアによって血液中にできた抗体を調べる血液検査を行います。
治療 抗生物質を服用すれば、2週間程度で治ります。口内に感染している場合も同様です。

淋病

淋菌と呼ばれる細菌によって起こる感染症です。

感染経路 キス、セックス、オーラルセックスなどによる粘膜の接触
症状 2~7日の潜伏期間を経て、膣から黄色いおりものの排出、外陰部の腫れ・赤み・かゆみなどの症状が現れます。ただし、無症状のまま慢性化するケースも見られます。進行すると、淋菌性膣炎、子宮内膜炎、卵管炎などを引き起こします。子宮外妊娠や不妊症の原因となることもあります。
また、喉への感染時には、咽頭炎の症状として表出します。
検査 おりもの内の淋菌の有無を確認します。男性の場合は、尿道の淋菌の有無を確認します。必ず、パートナーと一緒に検査を受けましょう。
治療 抗生物質の内服・注射を行えば、1週間程度で治ります。ただし、医師による完治の判断が出るまでは、セックスや飲酒を控えてください。抵抗力の強い菌が残っている場合があります。

性器ヘルペス

「単純ヘルペスウイルス」の感染によって起こる感染症です。近年、20代の若者の間で感染が増えています。目、口、性器に感染し、中でも性器に感染したものを「性器ヘルペス」と呼びます。
妊娠中に性器ヘルペスに感染すると、出産時に産道で新生児へと感染することがあります。

感染経路 主にセックスによる粘膜の接触
症状 初めての感染の場合、3~7日の潜伏期間を経て、発熱、倦怠感などの症状が出ます。米粒大の水ぶくれが外陰部や膣にできます。水ぶくれはすぐに破裂して、ジュクジュクした潰瘍となります。下着が汚れたり、排尿時の痛みがあります。
また、外陰部が大きく腫れ、激痛のために歩けなくなったり、脚の付け根のリンパ節が腫れを起こすこともあります。
検査 産婦人科医が診察して水ぶくれや潰瘍を観察すればすぐに分かります。ただし、正確な診断のために血液検査が必要となることもあります。
治療 抗ウイルス剤の塗布、内服、注射を行います。

尖圭コンジローマ

ヒトパピローマウイルスによる感染で起こる性感染症です。性器にイボが多数でき、大きくなるのが特徴です。

感染経路 主にセックスによる粘膜の接触
症状 感染後2~3か月の潜伏期間を経て、外陰部・肛門近くに弾力性を持つ小さなイボができます。イボは増殖し、大きくなるとカリフラワーのような形状になります。その他の自覚症状はほとんどありませんが、痒み、ほてり、性交時の痛みを感じることがあります。
検査 性器にできるイボが特徴で、産婦人科医が診察すれば容易に判断がつきますが、皮膚組織を採取して検査することもあります。
治療 イボが小さく少数であれば、軟膏の塗布やドライアイスによる凍結で治療を行います。レーザー、電気メス、手術での切除を行うこともあります。

カンジダ膣炎

カンジダ・アルビカンス(真菌・カビ)が膣内で繁殖して発症する性感染症です。ただし、ほとんどが自己感染で、性交による感染は10%程度だと言われています。免疫力が安定しているときは菌が付着しても発症しませんが、疲労、病気、妊娠などで体力が落ちているとき、抗生物質を服用しているとき、糖尿病の方などがかかりやすくなります。

感染経路 主に自己感染。セックスによる感染は10%程度。
症状 外陰部の痒みが生じます。また膣内にカッテージチーズのような白いおりものが発生し、外陰部に付着すればただれることもあります。慢性化すると、おりものは減る一方、痒みは残ります。
検査 綿棒などでおりものを一部採取し、培養検査を行います。
治療 膣内に抗真菌性の坐薬を挿入し、外陰部にも抗真菌性の軟膏を塗布します。症状は3日程度で治まることが多いですが、カンジダ菌はまだ残留しています。完治まで1週間程度はかかります。

トリコモナス膣炎

寄生虫の一種「トリコモナス原虫」がセックスのときに膣内に入り込んで発症する性感染症です。膣の自浄機能が低下し、他の感染症に感染しやすくなる特徴があります。

感染経路 主にセックスによる粘膜の接触
症状 外陰部の痒み・ただれ、膣壁の出血などが起こります。黄色いおりもの、緑色のおりもの、泡状のおりものなども見られます。いずれもきつい匂いがあります。進行すると、尿道炎や外陰炎を引き起こし、排尿時や歩行時に痛みが生じます。
検査 おりものや尿を顕微鏡で観察し、トリコモナス原虫の有無を確認します。男性にはほとんどの場合、自覚症状が現れません。女性の感染があった場合には、必ずパートナーも検査を受けてください。
治療 フラジール膣錠、フラジール内服薬を併用すると、2週間程度で治ります。膣以外にも尿路へ侵入することもあるための、内服薬との併用です。

梅毒

トレポネーマの感染によって起こる性感染症です。
梅毒は、トレポネーマの感染により発症します。以前は代表的な性感染症でしたが、抗生物質のお陰で最近では全性感染症の中で約0.8%と発病率は低くなってきました。梅毒は、セックスやキスの時に皮膚や粘膜の小さな傷から感染します。又、輸血から感染することもあります。母親が感染していると胎盤を通じて胎児にも感染します。

感染経路

キス、セックスなどのときの皮膚や粘膜の小さな傷からの感染。輸血。胎盤を通じた母親からの感染。
症状:10~90日の潜伏期間がありますが、平均して3週間前後で症状が現れ始めます。症状は、進行の程度によって異なります。

  • 第1期
    感染3週間後、トレポネーマが侵入した箇所に赤く硬いしこりやただれが生じます。痛みはそれほどありません。数週間で消えますが、痕が残ります。
  • 第2期
    感染3か月後、トレポネーマが血液により全身に運ばれ梅毒疹が現れ、発熱、倦怠感などを伴います。梅毒性脱毛もこの頃に起き、頭の毛が不均一に抜けることがあります。これらの症状が数週間から数か月続きます。
  • 第3期
    感染2~3年後、筋肉、骨、内臓に「ゴム腫」という結節が生じ、徐々に大きくなります。
  • 第4期
    感染してから10年以上経過すると、心臓血管系、中枢神経系が侵されている可能性が高いと言えます。大動脈中膜炎、大動脈瘤、痴呆、進行麻痺など、全身に亘るさまざまな疾患の原因になり、最悪の場合には死に至ります。
検査 血液検査による診断を行います。(血液検査の結果は、検査日から6~8週間後に分かります)
治療 抗生物質の内服・注射で治療します。

HIV(エイズ)

私たちをさまざまな病原体から守ってくれるTリンパ球やマクロファージがHIV(=エイズウイルス=ヒト免疫不全ウイルス)に感染すると、これまで感染しなかったような病原体に侵されやすくなり、さまざまな病気を発症します。規定された代表的な23の疾患のうちの1つでも発症した時点で、「エイズ」と診断されます。

感染経路 母子感染、性感染、血液感染の3つの経路があります。

  • 母子感染は、出産時、母乳での感染です。遺伝ではありません。
  • 性感染は、性行為による感染です。
  • 血液感染は、注射器の使い回しなどによる感染です。
症状

HIVに感染すると、その後大きく分けて3つの経過を辿ります。

  1. 感染初期
    HIVに感染すると、2週間程度の潜伏期間を経て、発熱、だるさ、筋肉痛、リンパ節の腫れ・痛み、湿疹が起こります。ただしこれらの症状が現れない場合もあり、また現れたとしても数週間で治まります。
  2. 無症候期
    体調不良が治ったように症状がなくなる、数年~10年の期間です。この間もHIVは増え続けていますが、免疫機能により症状が現れません。
    ※無症候期には個人差があり、数年でエイズを発症してしまうこともあります。
  3. 発症期
    免疫機能が負けてしまい、規定された代表的な23の疾患のうちの1つでも発症した時点で、「エイズ」と診断されます。
検査 HIV抗体スクリーニング検査を行います。ただし、HIVに感染してすぐに検査を受けても、正しい結果が得られないことがあります。HIVに感染していない(陰性)ことを確かめたい場合には、感染した可能性のある日から3か月以上経過してから検査を受けましょう。スクリーニング検査により、「陽性(+)/要確認検査」となった方は、2段階目の検査「確認検査」を受けていただきます。ここで「陽性(+)」となると、感染が確定します。
治療 現在のところ完治は不可能ですが、薬(抗HIV薬)の服用を正しく継続していけば、エイズの発症を長期間抑え、これまでと変わらない生活を送ることができます。もはやエイズ発症がすなわち死を意味する時代ではありません。将来的に、完治できる薬が開発される可能性は十分にあります。

性感染症の予防

おなか性感染症の予防のためには、コンドームを使用することで粘液・体液の直接の接触を排除することです。
性行為の初めから終わりまで、製品ごとの注意書きに準じて正しく装着してください。
また、不特定多数とのセックスは感染機会を増やしていることになりますので、しっかりと相手を選び、責任を持って性行為に臨みましょう。

コンドーム装着だけじゃない、感染経路を絶つための重要なポイント
  • 性行為の前に排尿・排便を済ませておきましょう。
  • 性行為の前後にシャワーを浴びましょう。
  • パートナーと、性器に変わったところがないか確認しましょう。
  • パートナーの性器を傷つけないように注意しましょう。
  • 生理中は、屋外で性行為をしてはいけません。
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